10代の終わり。
ショッピングモール内のカフェ。
そこで僕は友人を待っていた。
当時そのモール内にあったアパレル店員だ。
そんな折、カフェのバイトの女性と仲良くなり、
今思えば異様だが、
数日で、部屋の鍵を渡された。
その女性、仮にMとしよう。
Mは、そのカフェの看板娘らしく、
ストーカー被害に遭いかけたエピソードを僕に教えてくれた。
その当時、
僕らは、哲学やら文学の話題に夢中で、
文通なんて事もした。
まあ、手渡しだが。
Mとの日々は、短くもなかなか愉しく、
映画を観たり、
信仰という概念について語り合ったり、
雑多なこと、
繊細な話題、
様々であった。
ただ、この間、
一度だけMの人気から来る脅威を目にした。
事の発端は、ショッピングモールの駐車場にあるMの車まで、ファンが覗きに来ているという話。
僕は歯牙にもかけず、
まさかと笑った。
しかし、
その話は現実だと思う光景。
それは、
Mがシフトに入った日のカフェの席。
男性客が座る沢山の席のテーブルに、
これみよがしに置いてある本。
全て同じ書籍だった。
それこそ、
Mが読んでいる最中の一冊であり、
車内に置いていることもあったもの。
Mは、あの店のマドンナ。
英語圏でいう、
Queen Bee
結果的に、無事に済んだ事が幸いだ。
では、また。