課題図書 『馴染み知らずの物語』滝沢カレン

選書は、 はむちゃん (id:y86chan)様
書評ブログ『本好きの秘密基地』
運営のはむちゃん。
本書は、古今東西の名著のタイトル、
並びに、若干のヒントを頼りにして、
滝沢カレンさんが紡いだ15の作品から成ります。
では、早速始めさせて頂きます。
『九月が永遠に続けば』
三枝みさこ40歳
22歳のイケメン彼氏と、
前夫との子であるかずやと暮らしている。
職場でのみさこは、バリバリのキャリアウーマンで、
日本一の雑誌Pepulu
の編集長。
しかし、
そこに、突然の訃報が。
彼氏である美濃川ゆうき→事故死。
その9月6日の悲惨な夢を繰り返して、
みさこは、刑務所の医務室で目覚める。
果たして、
彼女は、三枝みさこ❌→上田のりこ
そして、のりこは三枝みさこを殺害し、
その子、かずやを自宅監禁してまで、
三枝みさこを演じていたという。
時は経ち、
上田のりこが刑期を終えたのは、
86歳
9月6日のことだった。
(感想)
いきなり、イヤミスの女王の一角、
沼田まほかる氏のデビュー作。
当方、
好きな作品であり、2冊持っているが、
カレンさん、全然違うってばww
しかし、それこそ本書のコンセプト。
オモロな部分である。
パクリでも無ければ、オマージュでも無い。
全く新しいアプローチだ!
『妻が椎茸だったころ』
65歳の矢島は、
妻を亡くし落ち込む日々。
退職して、趣味も無い。
ところが或る日、
妻→なお
宛ての連絡が入る。
それをキッカケに、
料理教室クッキングッドに向かった矢島は、
食材である椎茸から妻の声を聴き取り、
それを調理した。
そして、
妻がよく作ってくれた、
椎茸の甘辛煮が完成し、
矢島は、再起するのであった。
(感想)
転スラの様な内容から始まる。
亡き妻が→椎茸
しかも調理して食す。
でも、大丈夫。
グロでは無くて、温かな筆致で書かれた、
人情物語でした。
『変身』
デパートの7階で寝具を売っている冴えない販売員、
〈僕〉
或る朝に、謎の黒玉を見つける。
その結果、
自身はベッドの姿に変身。
マスコットキャラとしてか、
業績も、右肩上がりに。
年末の売り上げで、
大きな業績をあげた彼だが、
集合写真に写った自分は、
ベッドでは無く、
人間の姿であった。
(感想)
厭世的な作風の本家とは対照的に、
明るく救いのある作風。
まさかの、ベッドへの変身が、
なんともユニーク且つ可愛い。
『うろんな客』
コモロウ村という集落の一家に1冊必ず存在するという絵本がある。
それは、
数百年も前から伝わる奇譚。
両親を蔑ろにする親不孝な男→コモロウ
そのコモロウが、
鳥次郎なる怪物に喰われてしまう内容だったそうな。
(感想)
元ネタとの繋がりは兎も角として、
こんな、フォークロアがあっても不思議では無いし、
ありだなぁ。
『ザリガニが鳴くころ』
湿地帯で有名な→ウォータートレイ地区
12歳の少女、モイスチャー。
乾燥地区→サバクフェンス地区
少年、ドライヤー。
モイスチャーは、渇いた地に潤いを与え、
ドライヤーは、湿った地に乾燥を与えた。
後の機器ドライヤー&化粧水モイスチャー
これは、そこに起因する昔話じゃった。
(感想)
どんなシリアスな作品も、
カレン節で、ホッコリ。
そのチカラが顕著なお話。
ドライヤー
モイスチャー
オモロ!
『あしながおじさん』
孤児のジュディは、
或る夜にグニャグニャとした体の足の長いオジサンに出会う。
しかし、
交流が1週間経った頃に、
ジュディに手紙が届く。
あしながおじさんの姿をしていたが、
自分達は、ジュディの両親だったと。
ジュディは、生と死を見つめ、
霊媒師への道へ進んだ。
(感想)
まさかまさかの、オカルト?
否、
ファンタジーと言うべきか?
カレンさんの、
先入観無しの筆致が成せる技。
『若きウェルテルの悩み』
18世紀のヨーロッパ、イタリア。
ウェルテル・タントン16歳。
彼は悩んでいた。
それは、
なんと、
メガネ男子からコンタクト男子に、
イメチェンすべきかどうか?
悩んだ末、
コンタクトにした彼は、
自意識に揺れるも、
周囲は対して変わらない。
ウェルテルの悩みは杞憂に終わった。
(感想)
この物語が、カレンさん作品では1番好きだ。
ウェルテルシンドローム等、
重たい案件ではあるが、
悩みには多種多様な形があるし、
コンタクトに変えるのだって、
大切な悩みだ。
『号泣する準備はできていた』
大学を中退し世界を旅する26歳の女性サリー。
サリーは、
モンゴルの地で高名な占い師に死の宣告を受ける。
しかし、
自分と瓜二つの女優志望のドリッサという女性との出会いにより、運命が変わる。
嵐の影響でモンゴル発ロシア行きの航空機が墜落し、
235人が死亡したのだ。
サリーが乗る予定だった便である。
ドリッサは、女優になり、
サリーは故郷の台湾に戻り、気象予報士になった。
(感想)
死という未来を乗り越える。
そういう奇跡をカレン節で紡がれた本作。
号泣までは行かなかったが、
うるっとくる準備が必要だった。
『バナナフィッシュにうってつけの日』
「エリンギキャンパス」
という海辺のホテルを営むルッコ。
2年前の大失恋を機に、
都会を去った。
そこに、かつての恋人→ガッシア
彼がやってくる。
家族の助力もあり、
2人は、めでたくゴールイン。
夜空に浮かぶ夜景。
後に、
「エリンギキャンパス」は、
「バナナフィッシュ」と名を変えた。
(感想)
カレンさんのロマンチストぶりが、
ふんわり乗っていて小気味良い。
タイトルに引っ張られている様な、
いない様な、
その、あわいがイイ。
『みだれ髪』
遥か昔。
晶子という、こもりがちな女性がいた。
そしてその髪は、
鳥の巣の様なこんもり頭。
そんな晶子は、同じくこんもりとした髪型の、
ツネダヤスシロウと出会い、恋に落ちる。
互いに作家と詩人。
盛り上がる中で、2人は鷲に攫われてしまった。
そこから生まれたのが、
みだれ髪禁止法!
(感想)
これは、アンフェアだ。
ラストの、みだれ髪禁止法
このワードパワーが強すぎるww
暫く頭から離れなかった。
『蟹工船』
蟹が好きだった〈僕〉は、
専用の船である、蟹工船に乗って漁をしている。
或る嵐の夜。
〈僕〉は、蟹達に話しかけられ、
蟹御殿という場所で、素敵な体験をする。
しかし目を覚ますと、
蟹が浮き輪になった状態で発見された。
(感想)
プロレタリアートの極北。
それを、カレン流にすると、
浦島太郎の様な、ほんわか作に。
怒られるよ、ホンマにww
『屋根裏の散歩者』
怠け者の斉田もんた。
大嫌いな、蔵一という男を屋根裏から脅かしていた。
ひと月後。
蔵一の無惨な死体が見つかる。
以来、
もんたは、屋根裏から、
コツコツコツという音を聞く様になり悟った。
次は、自分の番だと。
(感想)
因果応報のカレン節炸裂!
乱歩の代表作品だが、
こちらは、ミステリというより怪談に近い。
『薬指の標本』
恋愛体質の〈私〉は、
標本室で働いている。
その趣味は、自分の恋人たちの薬指の標本を集める事。
顔も名も使い分けて、
二度と結婚指輪など嵌められないように、
〈私〉は、男の薬指を集める。
(感想)
どうした滝沢カレン。
急にサイコ。
確かにお題からして、穏やかで無い。
恋愛体質というよりストーカーの女性の、
猟奇性が垣間見える。
これは、実録のカレンなのか?
『わたしを離さないで』
35歳のキャシーは、
山奥の奇妙な施設で、働いている。
或る時、リンダという女性と会い、
地下室での研究を知る。
果たして、
数ヶ月後の夜。
「私を離さないで」
という旨の書き置きを目にした。
キャシーは、施設の暗部を暴いた。
人体実験の罪により、
館長は、死刑。
スタッフは、禁錮150年。
キャシー、48歳の頃であった。
(感想)
カズオ・イシグロを読んでいない。
しかし、
約束のネバーランドや、
陰謀論的なお話も書く、
そんなカレンに、してやられた。
『生きてるだけで、愛。』
24歳のカオリには、
カメラアシスタントの彼氏がいる。
ただ、
鬱からくる過眠症で、
カオリは1日の大半を寝て過ごしてしまう。
そんな折、
秋野ゆりこ、という女性が訪ねてきて、
彼氏は、病院の御曹司で、カオリの知る事実とは異なる背景が浮き彫に。
そして、
現実世界では無いことも。
目覚めたカオリは、精神科病棟で30年以上の眠りについていた。
56歳
好きだった彼氏、その恋人が、
目の前にいた。
カオリは、脱走。
彼女は、まだ、生きている。
(感想)
元本は、以前、はむちゃんからの紹介で読んだ作品だ。
カレンさん、
SFっぽいオチが好きなのかな?
また、
ドンデン返しも。
畑みなみ?
【総括】
ここまで駆け足で書いたが、
現在、17時過ぎ。
タイムオーバー汗
恐縮ながら続けさせて頂くと、
2023年に、
たまたま購入して放置していた本。
それを選ぶ、はむちゃんの魔力に、
驚いた!
さて、
本書について。
まず、文章は巧みとは言い難いかも知れない。
しかし、それこそが武器だ。
当方、
全力!脱力タイムズ
この番組での滝沢カレンさんの食レポで、
笑い死にかけた。
あれを、進化させたというのか。
勿論、各作品の原著を読むのもアリ。
だが、この本には軽く補足がある。
義務教育に、
こういう科目があっても、
面白いのではないか?
チャットGPT、AIに頼るばかりでなく、
この本のタイトルの様に、
馴染んでいない事柄に対して自由な翼を広げてゆく作業には、何らかの価値があるのではないか?
当方も、僅かな受賞歴しか無い物書きの端くれとして、カレンさんの如く、
未知の領域を恐れず文章を紡いでいかなければ。
あと、納期を守りますww
以上、
限りある時間の中で、
ここまで読んで下さり、有難う御座います。
では、また。