かなり個人的な事情ながら、
悪態が苦手だ。
特に、女性に対しては難しい。
例えば、母や祖母から始まるあらゆる女性。
それらに、
このババア!
と言いたい場面は山ほどあったが、
僕は一度も口には出せない。
ぐっと堪えて、
他の表現を探しオブラートに包んできた。
ドラマとか、本とか、映画とか、
思春期の若者や、中高年まで。
ババア!
そうキレる描写は、多々有る。
しかしながら、
僕にはそう口にすることは不可能。
何故か?
難しい問題だが、
何となく、その一線を超えてしまうと、
相手の心が粉々になるのではないか。
そう思ってしまうのだ。
愛ある使い方のババア。
これも有るだろう。
でも、僕は使えない。
今、振り返るに、
ジジイ!
これも言った事が無い。
多分、ナイフを手にした幼児の如く、
自分の持つ凶器。
その恐ろしさにビビっているのだと思う。
このカードをきったら、
もうダメだ。
ダムが決壊する。
心にダムはあるのかい?
そんな、台詞があった。
まさに、そのダムが紛れもなく自分の中に存在するのだということを、
確信させられる。
さて、
そういえば。
このガキ!
そういうのも無いから、
自分は今までどういう悪態をついたか分からん。
そもそも、穏健派なチキンだし。
キレたことあるのかと他者に疑われる事もあるから情けない様な、
自分が無い様な。
これって、
イイ事なのか悪い事なのかが、
分からんのです。
優しいとか、穏和とか言い変えれば響きは良いけれど、
時には義憤を爆発させたい。
革ジャンが破れるほど憤慨したい。
とはいえ、
そう機会ってなかなか無いのです。
いや、僕だけかもしれない。
毎日、キレる方はキレるだろう。
だから僕には上手く説明がつかない。
何にキレて良くて、
何にキレてアウトなのか。
そういうテキストがあれば買う。
再度、
心にダムはあるのかい?
そう江口先輩が言っていたのを、
復唱。
さらに、
そこに愛はあるのかい?
う〜ん。
どうやら、まだ僕はその答えには到達出来そうに無いなぁ。
何でなんだよ。
悩ましいなぁ。
と言っていると、
何やら怒りが沸いてきた様な気はする。
しかし、
それでも僕は、
悪態が苦手なんだよ。
何だかなぁ〜。
口論をしていない弊害だろうか?
巷では、満たされるとディスり合いに弱くなるという。
そして、僕は別に満たされてはいない。
ダムは、いつ決壊するのだろう?
では、また。