郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』福嶋聡

書店にて、この本を手に取った。

述懐すると僕は何とも言えない感覚になり、

フリーズしたのであった。

 

ヘイト本を断ずる!

というタイトルならば、

成る程其れもひとつのヘイト本だなと感じただろう。

しかし、

疑問符が付いている。

何故かな?

ジュンク堂書店の方が書いた本だという。

合点が行くのが遅いが、

書店に本を並べて販売する側の書き手。

その方からのメッセージ。

僕は早速購入し、無い頭で読んだ。

 

ヘイトに纏わる数奇ともいえる読書体験。

それを経て、

まだ朝靄の中の様なボンヤリとした視野から、

この記事を書いている。

今の熱量が下がる前に。

 

著者は言う。

同じ思考の人間とだけ交わっていれば、

そのスタンスは検証や反省の機会を得ること無く、止まるところなく亢進していくだろう。

 

相手の主張をはなから偽、不正義と決めつけ、

その内容を聞こうともせず、

それゆえに反論もできず、ただ罵り合うだけで主張の対立する集団。

そこに、

相手の言説を無視するのではなく、十分に吟味した上で論破することで、

敵側も自分自身も変えていく形がある。

そして、多数派・少数派どちらにも必要なファクターがあると。

 

また、

議論対立の時の方が、

人は考える。

だから、考える為には書店に並べられた本に、

一種のバリエーションが必要。

自分の意に反する内容のものも。

そんな書店🟰「言論のアリーナ」

 

何より著者が脅威と感じるのは、

右とか左では無く、

結局、自分の気に入らない本を書店から排斥し、

対立そのものを無くしてしまおうとする。

そんな、影の存在の台頭である。

 

さて、

駆け足且つ舌足らずな記事になってしまうが、本書に触れて頂けるキッカケになればと思う。

この本には、

ここではカバーしていない差別、殺戮、攻防、

葛藤がまだまだ記されている。

 

著者が、

書棚にヘイト本を並べる理由。

そこには、不撓不屈の姿勢がある。

 

では、また。