郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

むず痒さの中で/『自称詞〈僕〉の歴史』友田健太郎

僕🟰ニードルは、

普段の会話に於いては、

自称詞は、俺。

しかし、

ブログや公式の場では、

やはり、〈僕〉を使う。

 

そんな自身にむず痒さの様な感情を抱きながら、

それを半ば誤魔化し流れるままに生きてきた。

 

そして、先日、本書を手にした。

 

著者によれば、〈僕〉は、

古くは古事記より使用されており、

幕末の折には、吉田松陰も多用。

また、その時代により、

使用者のステータスは、

異なっていた。

 

学生運動が盛んだった1970年代頃まで、

一部で隆盛を誇って来たという。

 

そして現代、

再び敷居が下がり市井にも広がった。

 

あのさん、EXILE大谷翔平選手など、

〈僕〉を名乗る著名人から、

村上春樹作品に至るまで言及された本書は、

自称詞がジェンダーを超えて公の場で認められる日という課題を提示しながら閉幕。

 

結果として、

自分が大衆化した〈僕〉という自称詞を使用する根拠が、

時代の経緯とともにぼんやりと見えた、

気がする。

 

というわけで、

僕は、今後もしばらく、否、まだまだ、

〈僕〉を自称していく。

 

では、また。