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日常を怯えて過ごす人間の雑記

誰が国語力を殺すのか

石井光太氏のルポ

『誰が国語力を殺すのか』

僕は本書をタイトル買いしたので、

社会問題や病理にまで言及されているとは思わなかった。

 

上手く説明できるか分からないが、

しばし、お付き合いください。

 

まず、印象的なのが、

今の子はライトノベルや芸人のエッセイといった背伸びせずとも理解出来る本を選ぶため、

新しい吸収が乏しいという話題。

 

個人的には、ラノベや芸人本でも、

得るものはあると思うが、

とにかく読み進める。

 

次に、乱れた日本語の使用について、

A「〜に行きたい」

B「何でくる?」

この会話で、Aは凹む。

移動手段について問われた事を誤認。

なんとなく、分かるこの感じ。

 

心理学の「九歳の壁」という概念の様に、

国語力にも、重要な時期はあり、

大体、小学校の高学年。

 

そして、漫画雑誌で事足りていた時代とは、

大きく変わった情報の氾濫。

こちらの問題もあるようだ。

 

また、成果主義の横行。

国語力は、豊かな人間性に繋がるが、

すぐに具体的な結果は現れない。

 

ネットスラングの酷さもあった。

知的障害者を池沼と。

ヒドイ話だ。

 

さらに、不登校問題。

その社会的要因は、

親の不適切な子育てに始まり、

世論の流れまで、

13項目ほど、挙げられていた。

 

一方で、良い話もある。

 

宮城県仙台市

女子少年院

「青葉女子学園」

ここで、

表現教育

というものが、実施されている。

内容は、

アンジェラ・アキの曲を流して、

手紙を朗読するというカリキュラム。

 

神奈川県川崎市

日本女子大学附属中学校・高等学校

こちらでは、

文学の読みを重視し、

特に文庫本を推奨している。

灘中学校で、

故人、橋本武氏が行ったのが有名。

 

東京都中央区日本橋馬喰町

開智日本橋学園中学校・高等学校

ここに於いて

「哲学対話」という授業もある。

生徒たちを5人ずつに分け、

7分間ディスカッション、

その後に、

テーマに対して対話を行う。

 

長文乱文で、恐縮だが、

日本語に対する闇、

病みといっても構わないかもしれない問題と、

それに真摯に向き合う方々による光。

非常に、豊かな内容の一冊なので、

是非!

ちなみに、

教員の不足やゲーム依存の問題にも、

僕は書かなかったが載っている。

 

最後に、

「哲学対話」をイメージするのに役立つと思えるのが、

『ここは今から倫理です』という漫画。

倫理教諭の高柳が、

生徒達に、対話をする時間を設ける話がある。

 

こちらも、一読していただけたなら、

幸いです。

 

では、また。