僕の憎しみには波がある。
そういう旨の言葉を、僕をよく知る人物から言われる。
その通りだと思う。
何時も何かに不満を抱いている。
その一方で常に感謝もしている。
アンビバレントな感情。
最近の雨にもそうである。
濡れるから非常に不快だが、
窓から眺めると癒される。
視点の違いで、僕の中の世界は変わる。
或いは、世界とは元来そういうものなのか?
答えは分からない。
あの日も、
僕は憎悪に支配されていた。
親しい女性と口論になり、挑発され、
怒りとやるせなさの中で、
物置にあるサンドバッグを支える鉄骨に、
ラジカセのコードを縛り付け首に装着し、
脚立から脚を離した。
苦しくて苦しくて、
脚立に戻ろうとするも、脚の感覚が無い。
そこから記憶が無い。
気付くと病院に居た。
救急の担当医は、
「生きて欲しい」
と言うので、理由を訊いたら、
スルーされた。
やっつけだと感じた。
ここでも憎悪。
その後、隔離病棟に入院し、
電気治療を受けて失われた僕の記憶の断片、
そこには、感謝もあっただろうか。
今は謎である。
では、また。