親戚に、ひきこもりがいる。
根は優しくて、几帳面、
ナイーブで、マイペースな男性。
彼は今年で30歳になった。
ことの発端は、8年前だったと思う。
管理栄養士の資格を取り、
働き出した彼だが、
上司にパワハラを受けて退社。
以来、現在に至るまで引きこもっている。
たま〜に外出するが、
病歴が無く、社会との接点が無い方は、
ひきこもりに該当する。
原因の一部は、彼の挫折経験の少なさ。
大学まで、ストレートで進み、
バイトをした事も皆無。
上司に怒られて、胸ぐらを少し掴まれ、
ショックを受けた。
僕は、何か出来ないかと、
民間のひきこもりの支援資格を取り、
勉強した。
だが、それは通用しない。
ある冬の日、
彼が部屋から出るまで数時間待った。
しかし、スムーズにはいかない。
一点、特徴的なのは、
彼がケロッとしている点だ。
孤独に強いのか、
稀に顔を合わせても平気な様子。
そして、たまにLINEを送るが、
返信は忘れた頃、夜中にやってくる。
お金も無いだろう。
そう思い、
漫画やDVDを差し入れたりしている。
感想は、届いて来ていないが。
そんな中、
去年は大きな動きがあった。
彼をダメ元で、温泉旅行に誘ったら、
行くと言ってくれた。
2人で、色々と話し、
現状への危機感に関する対話もしたり、
映画を観に行ったり、
農業体験をしたというエピソードも、
飛び出した。
料理も得意、綺麗好き、気配り上手。
優れたところは沢山ある。
気掛かりなのが、
昼夜逆転に、マイペース過ぎる点。
起きるのは昼過ぎで、
そこから、朝方まで起きていて、
寝る時も常にイヤホンをつけてゲーム実況らしきものを、流して寝ている。
また、支度や準備に行動が遅い。
映画を観に行った際は、
僕は15分前には、
最低でも到着すべきと言ったが、
一向に急がず、着いたのは2分前、
さらにトイレに行くという。
ここまで、色々と書いたが、
これでは、社会復帰はまだ遠い。
さらに、30代に突入してしまってもいる。
ご両親も、だんだんと歳をとっていく。
僕は、あのケロリとした様子を思い出し、
時々、危機感と怖気を感じる。
もし、彼が1人になったら。
それでも平気な顔をしていられるだろうか?
いつまでも当たり前に、衣食住を享受していられると考えてはいまいか?
僕は、この先彼に何が出来て、
何を、すべきだろう。
いずれにしても茨の道だ。
簡単にはいくまい。
では、また。