郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

パラダイスロスト

アーノルド・ベネット著

渡部昇一 訳・解説

『自分の時間』新装版

 

本書の、

〈読書好きなあなたへ〉

冒頭から、

小説は「思考する読書」には入らない。

こうきたもんだ。

 

ただ、要約すると、

思考を必要とするような小説

ではなく

小舟に乗って急流を下るがごとく、

最後まで息もつかせずどんどん読み進められるもの且つ、少しも疲れない、努力などとは無縁の小説を読め!

という。

 

さらに、

人並みの知力をもった人なら誰でも、

一年間読書をつづければ、

歴史や哲学の最高傑作にも取り組めないことはない。

何であれ傑作というものの最大の長所は、驚くほどわかりやすく書かれているということなのだから。

と続く。

 

そして、話は読書の真髄。

 

自分が努力を傾ける方向と範囲を限定しておくべき。

例えば、ひとつの時代、

或いは、ひとつの主題、

或いは、1人の作家を選ぶこと。

そういった読書の際はそれに全集中!!

 

もうひとつ、同時によく考えること。

自分の読んだものについて注意深く反芻すること。

 

・読書はどんどん読み進むべからず。

・終着点は忘れるのだ。現在自分のいる周囲に注意を払えばよい。

 

〈結び〉

そうすれば、おそらく予想もしないような時に突然、丘の上の美しい町に到着しているだろう。

 

さて、

僕は「美しい町」に、

至ったことがあるか?

 

確かにあったとは思うが、

自分が精読したつもりになっていた量に対しては、極めて少ない。

 

僕は、テクストをなぞるだけで、

それを見つめることを忘れていた。

書評も下手なわけだ。

 

自信の消失ならぬ、

自身の消失の危機。

 

では、また。