僕は、現在、
髪の毛の半分近くが白い。
ファッションではなくて、白髪。
染めても、なぜか半分白くなる。
そんな訳で、
周りからブラックジャック弄りをされて、
都度、説明を迫られるわけだ。
ブラックジャックといえば、
漫画の神様、手塚治虫先生。
その作品群の中でも鮮烈に人々に影響を与える作品。
かく言う僕も、幼少期に読んだ。
当時の僕は落ち着きの無い子供で、
機能不全の家庭の鍵っ子。
そして、学校ではペラペラ喋り騒がしいキャラであった。
叱られてばかりの記憶がある。
そんな折、ブラックジャックの文庫版を手にして読み、
1篇の話が深く心に突き刺さった。
タイトルは、『笑い上戸』
あらすじは、ブラックジャックの学生時代。
本名、間黒男。
彼は、不発弾による事故や親の惨事で、
鬱屈した日々を送っていた。
だが、ある日、
いつも笑ってばかりのクラスメイト、
ゲラというあだ名の男子と仲良くなる。
黒男は、当初はヘラヘラしているゲラに苛立っていたが、
ゲラは、
イライラしても疲れるだけだ。
無駄だ。
さらに、
笑えるのは高等な生物の証だ。
こうした発言をしたのだった。
そうして、黒男はダーツ等をゲラと楽しむ。
だが、
ゲラには悲しい背景があった。
それは、両親が夜逃げして、
取り立て屋に迫られながら、
1人で生活しているという事実。
それでも、ゲラはポジティブで、
漫画家を目指している。
そんな時、
ゲラと黒男が談義していた矢先に、
取り立て屋が急襲して来て、
ゲラを殴り、
更に危害を加えようとするので、
咄嗟に手元にあったダーツの矢を投げた黒男だが、投げ返されてしまう。
そこに割って入ったゲラ。
彼は喉を負傷し、笑えなくなる。
入院して、何処の土地に行ってしまったゲラ。
月日は、流れて、
大学で医学を学んだ黒男は、
ゲラと再会。
しかし、ゲラは痩せ細りまともに発声も出来ない。
習慣性縦隔気腫
この病気により、笑うことなど皆無に。
医学を手にした間黒男は、
ゲラのオペを敢行。
無事に成功し、笑いを聞く日を待つ黒男に、
訃報が届く。
それは、ゲラの死であった。
肺炎を起こし、
ショック死したゲラは、
最期に、皆に響き渡るほどの、
笑い声をあげて逝った。
ブラックジャックは、
笑える事を、
その素晴らしさを切実に胸に秘めながら、
ワインを飲み月を眺める。
長くなったが、
ブラックジャックから僕は、
許多のことを学んだ。
そして、この笑いについても。
僕は、今もペラペラ喋る。
また、ゲラゲラと笑う。
泣いたり笑ったりするのって、
スッキリしませんか?
では、また。