先日、病院の帰りの道中に、
『不気味の穴』を読んだ。
僕は、伊藤潤二作品に精通している訳ではないし、網羅している訳でもない。
ただ、
幼少期に見た、
「富江」の美貌。
そして、
「うずまき」のフォルムへの執着。
これらは、今尚強い。
というわけで、
本書には突き刺さる点が山ほどあるのだが、
取り敢えずいくつか。
「人を心の底から騙したいのであれば、徹底的にリアリティーを追求しなければならない」
荒唐無稽な設定に見えても、そこに描かれるリアリズムが揺るぎないものなら、
作品はブレないのだなぁ。
確かに。
「ホラー漫画における美女は、恐ろしさを際立たせ、増幅させる装置」
まさに、「富江」!!
「死後の世界や魂の存在を信じていない」
伊藤潤二先生の根底には、死という無に対する恐怖がある。
なるほど、説得力がある。
(アイデアについて)
体験や出来事自体がそのままアイデアになるというよりも、
その体験に伴うトラウマや恐怖、違和感、
こそが、発想につながる。
記憶を辿るのではなく、
自分の中に引っかかり続ける何かを使う。
(嘘をつかないこと)
漫画のアイデア自体が、
デタラメ
それに他ならない以上、
その地盤は確かな科学的根拠に依らねばならない。
(世界や自分に対する認知の歪み)
万人共通の世界観など無いのに、
皆が同じ世界でわかり合って生きている様に生きているという矛盾。
我々はわかり合えないという絶望を見せつけるものこそが、
伊藤潤二先生にとっての異形。
※総括
本書に於ける伊藤潤二先生の作品への姿勢や、
バックボーンたる私生活、
技術論。
これらを、僕ごときがあれこれ言えることでは無い。
しかし、1人の漫画好きとして非常に刺激的な1冊であり何度も読み返したい。
さらにさらに、
氏の作品を、また読み耽りたくなる。
取り敢えず、
『ファッションモデル』
この作品の、
サメ女、「淵」
読みたい読みたい、
また何度でも!
いや〜、
浦沢直樹の漫勉
録画データが消えたのが悔やまれる。
伊藤潤二先生に、敬意を込めて。
では、また。