郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

僕がノイローゼになった頃

棚を整理していると、

古いカルテが見つかった。

恐怖神経症

そう書いてある。

あゝ

そうだなと思う。

この古い紙。

僕の10代の苦難が甦る。

 

当時、大学生だった僕は日本文学科にいながら哲学に傾倒しつつあった。

哲学や倫理学の教授と食事させていただき、

学ぶことも多かった。

とはいえ、勉強好きでは無い。

若さ故から、

学問を忌避したり、オールで遊んだりもしていたので、偉そうなことはいえない。

 

坊主にして、太いボディピアスを開けていたヤバい時期も少しあった。

 

そんな時、

学内で、自ら生命を絶った人物の知らせを受けて、自裁について考える様になる。

ウェルテル。

こうした時期というのは、

漠然と生に違和感を覚え、悩む。

僕も引き込まれていった。

 

危険な状態に不安をおぼえながら、

夜の田舎道を、バイクで疾駆したり、

がむしゃらにランニングを始めたりしても、

死という魔物が頭から離れていかず、

纏わりついてきた。

 

以前書いた、大学生活の光の部分は確かにあったのだが、

今、こうして闇の部分も独白している。

避けてきたのかも知れない。

 

話を戻そう。

 

当時、様々なバイトを経験したが、

その中の1つに、

少し変わったものがある。

近所の歯科医の先生の娘さんに、

絵本を作るサポートをするという内容。

小学生の絵本作りのストーリーを、

考えることになった。

 

正直なところ、

その具体的なテクストは忘却した。

記憶を辿ってみる。

確か、一羽の鳥を主人公にした物語、

だったと思う。

その中に僕は、

鬱屈した闇を塗り込みそうになって、

動揺しながらも、

無難に作業を遂行した。

 

こんな風に、闇が病みへと深まり、

日常を蝕むのにそう時間はかからず、

異変が起きる。

 

皆んなと騒いで、

疲れて横になる。

時間は過ぎていく。

しかし、

一向に眠れない。

僕は、完全に不眠に陥ってしまった。

シティ・オブ・ゴッド

スラムを生きる若者たちを描いた作品。

この映画を観た日から不眠が始まった。

何故かそれだけは、

はっきりと覚えている。

無論、この映画の影響で不眠になった認識は無い。

 

しかしながら、眠れないというのは、

辛い。

朝が来るまで不調なまま過ごす地獄。

次第に、僕は崩れていった。

大家さんに、

自分が正常ではない旨を伝えて、

クリニックにいった。

 

そうして、

診断されたのが、

恐怖神経症

所謂、ノイローゼであった。

 

こんなことを書いて、

誰のためにもならない。

申し訳ない。

しかし、メンタルで悩む方を、

応援しているし、

今でも、僕は眠剤を飲んでいる。

 

では、また。