郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

始まるね/SALVAGE

学生時代の話。

 

自裁志願者だった僕は、

希死念慮が昂って深夜の市街地を徘徊していた。

 

早い話が、

死場所を探していたわけである。

 

ミニバイクでぐるぐると周り、 

閑静な住宅街に入り込んだ。

 

いっそ飛び降りよう。

 

そう考えて高い建造物を探しはじめた時、

文学部で同じだった或る人物から、

「始まるね」

この1行のショートメールが。

 

それに戸惑っていると、

パトカーがやって来て囲まれた。

不審者と思われたらしく、

職務質問を受け、

その夜は帰宅した。

 

あの日の夜を超えなかったら、

今、生きているだろうか?

 

それにしても、

あの「始まるね」とは何だったか。

その発信者とは、結局話したことは殆ど無い。

 

では、また。