学生時代の話。
自裁志願者だった僕は、
希死念慮が昂って深夜の市街地を徘徊していた。
早い話が、
死場所を探していたわけである。
ミニバイクでぐるぐると周り、
閑静な住宅街に入り込んだ。
いっそ飛び降りよう。
そう考えて高い建造物を探しはじめた時、
文学部で同じだった或る人物から、
「始まるね」
この1行のショートメールが。
それに戸惑っていると、
パトカーがやって来て囲まれた。
不審者と思われたらしく、
職務質問を受け、
その夜は帰宅した。
あの日の夜を超えなかったら、
今、生きているだろうか?
それにしても、
あの「始まるね」とは何だったか。
その発信者とは、結局話したことは殆ど無い。
では、また。