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日常を怯えて過ごす人間の雑記

師範の逸話/SALVAGE

僕の空手の先生。

人格者であり、褐色の肌のマッチョ。

保険会社に勤めていらした。

そして、

今は道場を畳んでしまったが、

若い頃は、稽古の終わりに、

様々なエピソードを語ってくれた。

 

よく覚えているのが、

芸能人を反社会勢力から匿った話。

拳銃で武装した相手と対峙。

キャオラー!

僕は、そう心の中で叫んだ。

この叫びに関しては、

デンジャラスライオン

加藤清澄

などと検索すればわかる。

 

さて、もうひとつ。

僕達の流派の様々な派閥の、

世界大会。

かつて、出場した師範の対戦のブロックにて、

日本人vsアメリカ人

このカードがあったという。

結果は、アメリカ人選手の上段回し蹴り一本。

敗者の選手は、結果的に亡くなった。

 

こういう話をしながら、

師範は決して空手を不当な暴力装置とするな。

そう警告してくださった。

 

黙祷に始まり、清掃にて帰路に着く。

そんな空手道場通いだった。

 

師範は、自慢話をした訳では無くて、

僕らの、手にしたモノは危険だと伝えていた。

そうして、

僕らに、それぞれの道場を持つことを許してくれた。

だが、やはり、あの方は怖い。

 

「道場破りは、生きて返すな」

 

こんなことを、真顔で言うのだ。

 

では、また。