郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

必殺、火薬星!/SALVAGE

大学時代。

オモチャのパチンコと火薬玉を買った。

自分の部屋の窓から見える狭い道。

そこを標的にして、

ドカンと爆ぜる火薬音にハマっていた。

 

そんな日々の中で、

違う学部だが親交のあったA子さんが、

小学生の弟さんを紹介してくれた。

 

最初は、ジブリのビデオを観たりしてかまっていた僕だったが、

次第に、弟さんをびっくりさせたい!

そんな悪趣味な気持ちになり、

北斗の拳』の雑魚キャラの死に様を観せて、

驚く様を眺めたりも。

 

だが、更に仲良くなり、

彼をバイクの後ろに乗せて移動したり、

空手の型を少し教えたり。

 

そして、ある日。

僕は、弟さんにパチンコと火薬玉を手渡し、

窓の外に向けて構えさせ、

ONE PIECE

ウソップの必殺技よろしく発射させた。

 

その瞬間、ヤバいと血が凍る。

THE反社会勢力の方々が乗った高級車の前方に破裂音が、パン!

 

すかさず僕は、2人の気配を消して身を伏せる。

 

怒号が響いてきた。

横にある中華料理店が、

西日で燃える様なオレンジに染まる中、

キレた人間の声が聞こえた。

 

最悪の場合は、弟さんだけでも逃さなくては。

そう覚悟して息を潜める。

5分くらいが、ずっと長く感じたが、

なんとか難を脱した。

 

完全に僕が悪い。

こちらが火薬玉なら、あちらは実弾。

そんな恐怖もあった。

 

それ以来、

花火すらしなくなった僕である。

 

では、また。