大学時代。
オモチャのパチンコと火薬玉を買った。
自分の部屋の窓から見える狭い道。
そこを標的にして、
ドカンと爆ぜる火薬音にハマっていた。
そんな日々の中で、
違う学部だが親交のあったA子さんが、
小学生の弟さんを紹介してくれた。
最初は、ジブリのビデオを観たりしてかまっていた僕だったが、
次第に、弟さんをびっくりさせたい!
そんな悪趣味な気持ちになり、
『北斗の拳』の雑魚キャラの死に様を観せて、
驚く様を眺めたりも。
だが、更に仲良くなり、
彼をバイクの後ろに乗せて移動したり、
空手の型を少し教えたり。
そして、ある日。
僕は、弟さんにパチンコと火薬玉を手渡し、
窓の外に向けて構えさせ、
ウソップの必殺技よろしく発射させた。
その瞬間、ヤバいと血が凍る。
THE反社会勢力の方々が乗った高級車の前方に破裂音が、パン!
すかさず僕は、2人の気配を消して身を伏せる。
怒号が響いてきた。
横にある中華料理店が、
西日で燃える様なオレンジに染まる中、
キレた人間の声が聞こえた。
最悪の場合は、弟さんだけでも逃さなくては。
そう覚悟して息を潜める。
5分くらいが、ずっと長く感じたが、
なんとか難を脱した。
完全に僕が悪い。
こちらが火薬玉なら、あちらは実弾。
そんな恐怖もあった。
それ以来、
花火すらしなくなった僕である。
では、また。