郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

いつか見た妖星

22歳の頃だったと思う。

僕は大事な友人を失った。

亡くなったわけでは無い。

連絡が、一切取れなくなったのだった。

当時は、まだLINEも普及しておらず、

ブロックや、既読スルーといった概念は無かったので異変には気付けない。

それは唐突。

ある日からぱったり連絡が途絶え、

ご家族とも話せない状態。

 

その友人は当時、

年上の女性にかなり熱をあげており、

ブランド品などを貢いでいた。

そして、

その関係に暗雲が立ち込め始めていた。

 

この事情との因果関係は定かでは無い。

しかし、それ以外に決定的な理由が分からない。

 

それからの10余年。

 

最初の数年は、

夢にその友人が出続けていた。

再びつるめると思ったら、

夢。

 

しかし、更に年を重ねる内に、

次第にそういった夢を見る頻度も減っていった。

 

ただ、忘れられないのが、

その友人と連絡が途絶えた時、

当時の或る夜。

空に、異様に光る恒星を見た。

 

北斗の拳の、死兆星

ではないが、凶々しい炎が強く燃える様に、

光っていた。

 

あれは何だったのか?

その答えは分からない。

 

しかし、

あの夜に目にした赤い星を、

僕は、忘れられない。

 

そんなノスタルジアと緊迫感。

ふと、夕暮れの空の、

マジック・アワーを見ながら蘇る。

 

では、また。