昨日読んだ、
『所沢のタイソン』
著者の風貌に似た友人が、
10代の頃にいた。
カツ君という男だ。
ゴロンとした体格で、
ニコニコしていても目が笑っていない。
それから、肉体も鋼であり、
ふざけてカンチョウを喰らわしたら、
こちらの指がお尻の硬さで突き指。
当時、僕は空手を現役で修練していたが、
カツ君には、その突きや蹴りは通用しない気がしたものだ。
ちょうどその頃僕達の周囲は、
きな臭い状況で、揉め事も多発。
会うたびにボコボコな顔になっている奴、
財布に何十万もの金銭を裏ルートで、
奪っている奴。
そんな輩が、鎬を削っていた。
しかし、所謂ヤンキーの様な人間、
そして、武道をやる人間、
この2つがぶつかり合う事は不思議と無かった。
さて、カツ君はオフホワイト。
勉強もキチンとするし、喧嘩もする。
ただ、どこか憎めない男児。
そのカツ君の立ち合いのもと、
柔道と空手の交流という形で、
互いに有段者の班長君と僕が、
組み手をすることになった。
こちらは、目、仏骨、金的を封じ、
柔道の班長君には、畳の上でという条件。
2人ともハンデをつけた。
班長君というのは、
あだ名で、普段はオネエ系なのに、
柔道が強い。
掴まれる前に、叩きのめさねば。
そう思った。
しかし、間合いに入って打ち込むが、
顔面に叩き込むのを一瞬躊躇い、
すかさず投げられた。
頭が真っ白になる衝撃。
畳の上でも、気を失いかけた。
敗因について、カツ君は言った。
覚悟が無い。
カツ君曰く、
路上でも倒れた相手の頭を、
思い切り踏みつける度胸やクレイジーさが無ければやられる。
一瞬でも逡巡した者は敗北するし、
死ぬ。
これは、師範から教わった空手道とはまた異なるもの、喧嘩道。
無論、僕は喧嘩をすることは無いし、
誰かの肉体を破壊することなど無い。
刃牙を読んだりタフを読んだり、
ケンガンアシュラを読んだり喧嘩稼業を読んだりするのは、エンタメとして。
トレーニングをするのも、
喫煙しないのも、
体のため。
カツ君は、今頃何をやっているのだろう?
実家が医者の裕福な家庭だったはず。
もしかしたら、
ムキムキドクターになっているのかも。
と、話がぶれたが、
暴力で生きていける人間は、
どこかネジが外れていないといけない。
また、
クールでも、あり続けなければ、
やられてしまう様だ。
つまりは、僕には縁が無い世界。
では、また。