郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

暴力

昨日読んだ、

『所沢のタイソン』

著者の風貌に似た友人が、

10代の頃にいた。

カツ君という男だ。

ゴロンとした体格で、

ニコニコしていても目が笑っていない。

それから、肉体も鋼であり、

ふざけてカンチョウを喰らわしたら、

こちらの指がお尻の硬さで突き指。

当時、僕は空手を現役で修練していたが、

カツ君には、その突きや蹴りは通用しない気がしたものだ。

ちょうどその頃僕達の周囲は、

きな臭い状況で、揉め事も多発。

会うたびにボコボコな顔になっている奴、

財布に何十万もの金銭を裏ルートで、

奪っている奴。

そんな輩が、鎬を削っていた。

 

しかし、所謂ヤンキーの様な人間、

そして、武道をやる人間、

この2つがぶつかり合う事は不思議と無かった。

 

さて、カツ君はオフホワイト。

勉強もキチンとするし、喧嘩もする。

ただ、どこか憎めない男児

そのカツ君の立ち合いのもと、

柔道と空手の交流という形で、

互いに有段者の班長君と僕が、

組み手をすることになった。

こちらは、目、仏骨、金的を封じ、

柔道の班長君には、畳の上でという条件。

2人ともハンデをつけた。

班長君というのは、

あだ名で、普段はオネエ系なのに、

柔道が強い。

 

掴まれる前に、叩きのめさねば。

そう思った。

しかし、間合いに入って打ち込むが、

顔面に叩き込むのを一瞬躊躇い、

すかさず投げられた。

頭が真っ白になる衝撃。

畳の上でも、気を失いかけた。

 

敗因について、カツ君は言った。

覚悟が無い。

カツ君曰く、

路上でも倒れた相手の頭を、

思い切り踏みつける度胸やクレイジーさが無ければやられる。

一瞬でも逡巡した者は敗北するし、

死ぬ。

これは、師範から教わった空手道とはまた異なるもの、喧嘩道。

 

無論、僕は喧嘩をすることは無いし、

誰かの肉体を破壊することなど無い。

刃牙を読んだりタフを読んだり、

ケンガンアシュラを読んだり喧嘩稼業を読んだりするのは、エンタメとして。

レーニングをするのも、

喫煙しないのも、

体のため。

 

カツ君は、今頃何をやっているのだろう?

実家が医者の裕福な家庭だったはず。

もしかしたら、

ムキムキドクターになっているのかも。

 

と、話がぶれたが、

暴力で生きていける人間は、

どこかネジが外れていないといけない。

また、

クールでも、あり続けなければ、

やられてしまう様だ。

つまりは、僕には縁が無い世界。

 

では、また。