昔、TVのお宝鑑定番組で、
数千万円の刀剣を持って来た男性を観た。
なんでも、
街を歩いていたら、
「キミは侍の目をしている」
そう老人に声をかけられ、
刀剣のコレクションを譲り受けたという。
そして、
しばらく月日が流れたある朝、
僕はバス停で、マダムに、
「武道をやってるのですか」
と問われた。
まさか、
この時、僕の脳裏に鑑定番組がよぎり、
「ええ、一応」
と平静を装って答えた。
するとマダムは名刺を差し出して来た。
それによると、
そのマダムは薙刀や槍の師範。
そして、特に僕の評価はなされず、
バスは、到着し発車。
それきりであった。
僕の目は、少なくともサムライではない。
確定した。
では、また。