郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

サムライの目

昔、TVのお宝鑑定番組で、

数千万円の刀剣を持って来た男性を観た。

なんでも、

街を歩いていたら、

「キミは侍の目をしている」

そう老人に声をかけられ、

刀剣のコレクションを譲り受けたという。

そして、

しばらく月日が流れたある朝、

僕はバス停で、マダムに、

「武道をやってるのですか」

と問われた。

まさか、

この時、僕の脳裏に鑑定番組がよぎり、

「ええ、一応」

と平静を装って答えた。

するとマダムは名刺を差し出して来た。

それによると、

そのマダムは薙刀や槍の師範。

そして、特に僕の評価はなされず、

バスは、到着し発車。

それきりであった。

僕の目は、少なくともサムライではない。

確定した。

 

では、また。