中学の終わり頃だったと思う。
友人のO君宅で、
桜金造の怪談ビデオを観た。
そして、その中にアルカイダの自爆テロに関する都市伝説があり、不謹慎に3人で盛り上がった。
それは、表計算のソフトにとある設定をすると、
貿易センタービルへの自爆テロを暗示する文字が現れる。
そんな内容で、
僕ら3人は当時まだ家庭に普及しきっていなかった角ばったデスクトップPCを使い、
その文字列を出現させた。
ビルの絵文字に飛行機の絵文字、
更にはドクロマーク。
皆で、興奮を共有したが、
そのパソコンはO君のお父さんの所有物ということで、長く触れてはいられないという。
電源をシャットダウンするでもなしに、
他の2人はビデオの続きを観に地下へ走り、
僕もその場を去ろうとした。
その刹那。
何気なく見た画面に、
フォルダを見つけた。
『女』
このフォルダ名。
後ろめたさを感じながらも、
僅かな逡巡の末にクリック。
夥しい数のファイルが表示された。
それと同時に、
パソコンのあるリビングに誰かが入って来たので慌てて地下に行く。
リビングの出口で鉢合わせることなく、
地下に戻ったが、
頭の中は、あのフォルダ内のタイトルに支配されていた。
『気の強い女が』
この1つは、ハッキリ覚えている。
もう1つ、
全てのタイトルに、
『女』
これが含まれていた。
一級建築士で、
中島みゆきのビデオや、様々なお酒のコレクターでもあったO君のお父さん。
あの人は、一体何のファイルを大量に集めていたのだろうか?
ファイルを開いてはいないが、
アダルトな内容物では無い。
何故か当時からそう確信しているが。
その後、
22歳でO君とは音信不通になり、
今となっては全ては謎である。
では、また。