郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

【本好きのタイマン】第1ラウンド/『向日葵を手折る』彩坂美月

ブログ「本好きの秘密基地」

はむちゃんとの読書会

【本好きのタイマン】

第1回

課題図書は、『向日葵を手折る』

 

さて、始めたい。

 

内容をまずざっくりいうと、

くも膜下出血で父を亡くした少女、高橋みのり。

彼女の東京から山形に移った中での小6から中3までの、

4年間の軌跡である。

 

全編を通して、山形の自然の描写が実に丁寧に続き、読者の脳内に色彩を与える。

その中で、

粗野で粗暴だが、芯のある少年の「隼人」

温和で人当たりの良い少年の「怜」

この2人の男子と田舎の人々の中で、

みのりの物語は進んでいく。

 

東京から山形に来た、

いわば(外部)のみのりだが、

そこまで村八分にされることも無く、

思春期特有のちょっとしたイザコザがある程度だ。

また、中学に進級してからの隼人と怜。

モテモテ!

そして、

みのりは2人との関係を妬まれたりもするが、

揺らぐことなく、

一途だった。

 

「向日葵男」なる怪物が子供を殺すという都市伝説が流布されていて、

出るか?出るのか?

どいつだ?

なんて安易にも探してしまったが、

事態はもっと複雑で、切実。

これに関しては、詳述はしない。

 

余談だが、この作品。

叙情的描写が光る。

 

まるで漂流した海で見つけた、

小さな船の帆みたいに。

 

こういったワードセンスがイイ。

 

★総括

この歳になり青春ミステリというと、

敬遠しがちだが、

30代後半の男が胸を熱くさせられた作品であったことを強調したい。

 

胸キュン要素あり⭕️

文学的美しさあり⭕️

ミステリ要素あり⭕️

3種の神器は揃っている。

 

本書を選んでくれた、

はむちゃんの慧眼に、平伏します。

夏に読むべき素晴らしい小説。

 

嫌なこと、しんどいこと、

色々あるけれど、

そんな時は「朝、来い」

こう唱えたい。

この魔法の言葉は、

是非とも本編にて確認していただきたい。

 

はむちゃんには、及ばないが、

これが僕なりのレビューです。

 

なお、「刺さった言葉」は、

読書会の記事の投稿日は、

お休みします。

需要もさほど無いから、余計な報告にはなってしまいますが。

 

といったところで、おしまい。

 

では、また。