僕は、核家庭に育ち、
鍵っ子のひとりっ子。
小学生の時分には、
よく暗がりの中をトボトボと徘徊していた。
そして、
そんな時、夢か現か、
黒い影の様な者の気配を感じることが、
ままあった。
今、思えば偶然近くを歩いていた人、
または、
何かの影にすぎなかったと思う。
しかし、
当時の僕には、死神という印象があった。
さて、
それから月日が流れて、
成人して、
夜道を歩いていたとき、
久方ぶりに、死神の鎌の鈍い輝きの様な、
一種独特且つ曖昧な不安を覚えた。
だが、
これも気分の産物かと自笑。
その後、
中高生に向けて書かれて話題になった新書、
そのなかで、
「脅威の源泉としての他者」
という概念をみた。
夜道を歩いている時に覚える感覚。
その記述に、
僕の死神が合致した。
我々は、何処からを他者とするのか?
その線引きは、
多様である。
自分以外の全てをそう捉える場合も、
勿論あるだろう。
そして、そんな時、
僕は死神を生み出していたのかもしれない。
では、また。