郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

老人と父の複雑な距離感

昔、毎日父に会いやって来る客人がいた。

よく覚えていないが、

近所の独居老人だったと思う。

そのお爺さんは、

いつも、父の車があるかどうか確認して、

インターホンを鳴らしてきた。

庭の草花の手入れや、

季節の移ろいについて語っていたらしく、

目にする頻度も増えていった。

 

ところが、

ある時から父は、

お爺さんを避けるようになり、

次第に疎遠になった。

 

そんな記憶がふと蘇った際に、

父に理由を訊いてみた。

あの時のお爺さんとの関係性について。

 

答えは、死別が近いので悲しくなるから。

というものだった。

仲良くなればなるほど、

高齢のお爺さんとの別れは辛くなる。

だから、その前に距離を置いた。

 

僕には無い考え方だった。

残りの日々を濃密に過ごしたいという感覚ではなくて、別れを予めシャットダウン。

 

良いか悪いかは、別として、

人付き合いには、

千差万別あるなと、思った。

そんなことを、

ふと、思い出した。

 

では、また。