郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる

日常を怯えて過ごす人間の雑記

苦海浄土

1908年、日本の南西の端、

水俣市

そこに、日本窒素肥料が操業開始。

後の、

チッソである。

チッソは、工業排水を垂れ流し続け、

1956年、

水俣病が発生した。

1970年、

有機水銀の流出などの責任を認めない、

チッソに抗議するため、

患者たちは、

白装束を身につけ「怨」の文字を掲げて、

チッソ本社前に座り込んだ。

 

僕は、この光景を見た時に、

異様に感じた。

しかし、異様なのは彼らではなく、

公害を引き起こし、

人々を病魔におかした側の者たちだ。

 

その、患者達の苦しみやヒューマニティを活写したのが、

石牟礼道子

苦海浄土』である。

 

僕は、

苦海浄土

神々の村

天の魚

以上3部作を1冊に纏めた完全版を、

読んだが、

それなりのボリュームはある。

しかし、

そこには、

近・現代社会が手放した十全たるメンタリティの在処が、

著者の並々ならぬ筆致で描かれている。

 

パンデミック下の現在、

この1冊は、

一層ズシリと、重い。

 

では、また。